多発性骨髄腫の治療 その1

全身の危機的な状況を脱すると、いよいよ病気本来の治療が始まる。多発性骨髄腫は血液癌の中でも治療が難しい方だと云われる。30年以上前は余命率が低かったそうだ。基本的に治療方法は抗がん剤による化学療法か骨髄移植手術による。現在は数々の先進的な抗がん剤があり、また骨髄移植の技術もあがり生存率はかなり高くなった。それぞれのケースによるが、局部がない多発性のため放射線治療は行わない。完全寛解が期待できる骨髄移植は条件として69才以下(少し前までは65才以下だった)、各臓器に問題ない人、糖尿病など合併症がない人など不安要素をクリアーした人のみ実施される。もちろん本人の希望も必要だ。骨髄移植の方法は自家造血幹細胞移植で、他人から提供されるドナー移植とはちがい、本人の末梢血幹細胞を使って移植を行う。ドナー移植の場合、赤血球や血小板などはアバウトなABO式で型が合えばよいが、白血球はDNAレベルで厳密に合わなければならない。しかしDNAは皆違うので、近似値をとっても必ず拒絶反応が出る。きわめて簡単に言うが、移植後その人になじむまでが勝負なのだ。その点、本人の幹細胞を使う自家造血幹細胞移植は予後が良い。最近の医学の進歩で、この技術レベルが相当上がっているそうだ。しかし、私の場合は臓器の状態が悪く、成功率が低いと判断されて推奨されなかった。骨髄移植は失敗すると大抵の場合ジ・エンドだ。骨髄移植の過程で大量の抗がん剤を投与するのだが、その時、肝臓や腎臓がもたないようだ。ちなみに骨髄移植の手術費用は約3百万円で、公的な保険と高額療養費制度を利用すれば、その人の年収にもよるが自己負担額はだいたい10~20万円ほどだ。入院期間は約3か月かかる。私の場合、医師も推奨しないし、死亡するリスクがある手術などしたくはなかったので化学療法となった。次回から抗がん剤治療について綴りたいと思う。

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