多発性骨髄腫の治療 その3

MP療法がだんだんと効かなくなり、抗がん剤を変えることになった。免疫抗体は通常は免疫グロブリン(略称Ig)と呼ばれているが、その中にも複数の種類(サブクラス)がある。私の場合、病気の進行状況に関係するのはIgGという抗体で、IgG型骨髄腫と言われる。このIgGの数値が大きくなるとやばいことになる。骨髄中のがん細胞が増殖するとIgGが増えるという相関関係があるそうだ。MP療法ではこの数値を抑えきれなくなったので、先生と相談して新しい薬を試すこととなった。最近の抗がん剤に「分子標的薬」というのがある。以前の抗がん剤はがん細胞を攻撃して増殖を防ぐが、正常細胞まで攻撃してしまい、程度の差はあるものの必ず副作用が出る。それに対して分子標的薬はがん細胞のみを攻撃するので副作用が少ない。そこで商品名ベルケイド(一般名はボルテゾミブ)という薬を試すこととなった。入院して様子をみながら投与することになった。入院が必要なのは急激な副作用が出た場合に備えるためだ。この薬は注射薬で、筋肉注射になる。私の場合はお腹に刺した。スパンは一週間ごとで、血液検査を繰り返しながら行った。最初の二回分は特に問題もなかったが、特に効き目があったわけでもなかった。しかし三回目を打ったあと、急激な副作用が出た。血小板の値が危険なほど下がり、血圧も70以上に上がらない。最初は点滴で対応しようとしたが、依然血圧が上がらないためICU行きになってしまった。血圧が低すぎると敗血症になる可能性があるからだ。幸い二日ほどで正常値に戻り、一般病室に戻った。結局、この薬は自分には合わないというこになり、別の薬を検討することになった。次は多発性骨髄腫に効果があると云われるサリドマイド薬について語りたいと思う。

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