多発性骨髄腫の治療 その2

化学療法で古くから知られている治療法にMP療法というのがある。Mはメルファラン(melphalan)の頭文字で、Pはプレドニゾロン(prednisolone)の略だ。メルファラン(商品名アルケラン)は抗がん剤でプレドニゾロン(商品名プレドニン)は合成副腎皮質ホルモン製剤、いわゆる抗炎症ステロイドだ。このプレドニンについては数々の免疫系疾患やアレルギー性疾患に使われていて、知っている方も少なくないと思う。昭和30年に日本に導入された薬で、日本では塩野義製薬から発売されている。また、分子標的治療薬のボルテゾミブを組み合わせる場合もある。私の場合は最初、メルファランとプレドニンだけで治療を始めた。入院中は点滴で、退院してからは錠剤で服用した。これらの薬を一定のローテーションで服用するのだが、まあまあの効果があった。毎月の定期血液検査でがん細胞の減少傾向が見られた。ただ、痛くてエグイ骨髄穿刺による生体検査では、まだまだ癌細胞がうようよいるとのことだった。副作用については倦怠感や手足のしびれなどが出る。また食欲減退が予想されていたが、私の場合は逆に食欲増大になってメタボになってしまった。メルファランの包装には「毒」と書かれていてびっくりする。今まで乾癬の塗り薬などに「劇薬」と表記されているのは見たことがあるが、「毒」と表記されている薬を飲むのは初めてだ。でも先生を信用して、暫くはこの治療法を続けることにした。しかし、この化学療法は数年間も続くことになる。そして、だんだんと薬は効かなくなっていった。薬を変える時が来たのだ。次回は新しい薬について綴りたいと思う。

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