多発性骨髄腫の治療 その5

漸く、緊急事態宣言が解けた。今回は長かったなあ。これで大好きな居酒屋へ行ける。だけど、専門家は第6波が来るという。まだ安心できない。困ったもんだ。私はファイザー製のワクチンを二回打ったけど、ブレークスルー感染もあるし、新たな変異株もあるかもしれない。ウィルスはとても賢い。昨日、強力な台風16号が列島をかすめたけど、自然の力をなめてはいけない。肝に銘じよう。ところで人間の免疫システムというのはとても複雑だ。前回「多発性骨髄腫の治療その4」でサリドマイドのことを綴ったが、今回は多発性骨髄腫の治療薬エムプリシティについても書く。 エムプリシティ(エロツズマブ) はブリストルマイヤーズスクイブ社から製造販売されている分子標的薬だ。最近開発され承認された優れもの。点滴で投与される。(ちなみにこの製薬会社は私の妻が昔勤めていた会社。不思議なご縁だなあ。)この薬はがん細胞を直接たたくのではなく、人本来の抗体であるナチュラルキラー細胞を活性化してがん細胞と戦わせるというタイプの薬だ。最大のメリットは副作用が少ないこと。ただこの薬だけでは不十分なので、これに免疫調節薬レブラミド(サリドマイド)とステロイド剤レナデックス(デキサメタゾン)を併用する。この治療を約1年間続けた。結果は素晴らしいものだった。すべての指標が快方に向かい、ほぼ寛解と言える状態まで恢復した。生存の期待が沸き上がってきた。ただ、良いことばかりではない。この後サリドマイドの副作用に悩まされることになる。次回は副作用について報告したい。

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