静脈カテーテル

ICUからなんとか生還し、一般病棟の重症者用個室に移された。とりあえずの危機は回避したため先生方は少しほっとしたようだ。しかし私にとってはそこからが地獄の日々だった。つよいステロイド剤などの薬剤を大量に投与されているため、意識は混濁して状況がよく分からなかったが、首になにかがささっている。それはICUから付いていたようだ。口から水分、栄養分が取れないため、首の内頚静脈からカテーテルで高カロリー輸液を入れていたのだ。これが実に問題なのだ。首の静脈にささっているということは、もし間違って抜き取ると大変なことになる。そして私の意識は正常ではない。そのため、ベットに抗束帯で縛り付けられた。自分で寝返りもうてない。物がつかめないように手にはミトンのようなものを嵌められた。腕には薬剤用の点滴針がささっている。その状態が一日でも相当辛いのに、約3ヶ月続くことになる。もう気が狂いそうだった。精神的に不安定になり、また薬剤によるせん妄状態で幻覚もあった。病室内に風船のようなものがプカプカ浮かんでいたり、天井の壁には真っ黒クロスケみたいなもが、大群でササーと走っていたり、体が宙に浮いているような感覚があった。だが、不思議なことに恐怖感は感じられなかった。おそらく麻薬をやるとこのような状態になるのだろう。腎臓の数値が非常に悪かったため、時々人工透析もおこなった。多発性骨髄腫は骨が溶けていく病気だ。そのため高カルシウム血症になり、腎臓を痛めていく。これを止めないといずれ命を落とす。病状は一進一退を繰り返し、時々大声をあげて苦しんだ。心身的自由がないのなら、もう死んでもいいと思ったりした。でも献身的で一生懸命なケアをしてくれた医療スタッフ、また家族のおかげで徐々に回復傾向になった。少し良かったことは、ステロイドのデカドロン(デキサメタゾン)を投与されていたせいなのか、数年前から患っていた皮膚病の「尋常性乾癬」がきれいになったことだ。ただ病室まで診にきてくれた皮膚科の医師によると、これは一時的なもので薬剤投与が終わればまた元にもどるとのことだった。リバンウンドでさらにひどくなる可能性もあると言う。つまり寛解ではないとのことだ。次はこの尋常性乾癬について暫く綴りたいと思う。

静脈カテーテル” に対して2件のコメントがあります。

  1. らら より:

    何ヶ月も体の自由がきかなかったというのは、辛い体験だったでしょうね。私の想像以上に。よく頑張られたと思います。コロナ禍続く中、お体に気をつけてください。

    1. mataneko より:

      コメントありがとうございます。コロナが重症化すると、またICUに入るはめになるので、ほんとに恐怖です。死ぬことより、心身が拘束されるというのが怖いです。人間の尊厳とはなにかと考えます。

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