痛みとの闘い

話は前後するが、多発性骨髄腫は激しい痛みを伴う。私の場合、50代で激しい痛みを感じて癌が発覚した。癌に潜伏期間というのもおかしいが、医師の診断によると、私の場合は30代ですでに発症していた可能性があるという。癌にはたくさんの種類があるが、基本的には早期発見、早期治療が原則だ。手術ができる場合は手術して、必要なら化学療法や放射線治療を組み合わせる。だが、この病気は違うらしい。仮に30代で発見できていても積極的な治療は行わないそうだ。抗がん剤の副作用の方が癌の症状(貧血など)よりひどく、QOL(生活の質)が著しく低下するからだ。仕事にも当然影響する。この病気はがんには珍しく進行がとても遅いため、ある程度様子をみながら積極的な治療を始めるか、どうか判断するそうだ。でも、私の場合は遅すぎた。発覚した時には末期がん状態だった。診断がつくまで、痛み止めにロキソニン(ロキソプロフェン)やボルタレン座薬を使ったが、あまり効かないばかりか、腎臓を傷めてしまった。これらの薬は多用すると腎臓や肝臓に良くない。診断後、使える薬は市販薬のバッファリンで知られるアスピリン系かアセトアミノフェン系の薬で、激しい痛みにはほとんど効かない薬だけ。あまりの痛みのせいで、どこが痛いかも分からなくなり、看護師に手や足を触られても全身に痛みが走る。レントゲンやCTスキャンの検査台に乗ることもできない。筋肉マンの検査技師に抱きかかえられてようやく画像が撮れる始末だ。人間はあまり痛いと生きる気力を失う。私も早く安楽死させてくれと思ったほどだ。話には聞いてはいたが、癌性疼痛の恐ろしさを知った。でもモルヒネはまだ打てない。医師は最後まで全力を尽くす。最後の手段としてICUに入るまで、痛みとの闘いは続く。

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